概要
書名:ペンキや
作者:作・梨木 香歩 絵・出久根育
出版社:理論社
出版年:2002/12/01
本の長さ:47ページ
ジャンル:児童書・絵本
『ペンキや』のあらすじ・世界観
塗装店の見習いとして働く青年「しんや」は、「自分にはペンキ塗りの才能がないのではないか」と自分の腕前に悩んでいました。
悩みぬいた彼は、生前ペンキ屋だった父のお墓を訪ねるため、フランスへ向かうことを決意します。
渡航費用がないしんやは、フランス行きの船内でさまざまな仕事をこなしながら海を渡ることに。
ある日、彼が甲板を掃除していると、濃い霧の中から一人の女性が姿を現し、こう問いかけます。
「いつかあなたも、この船を塗ってくれないかしら」
その不思議な問いかけから、しんやの旅が始まっていきます。
不思議で魅惑的な「絵」の世界
絵を担当されているのは出久根育さん。
絵の専門的な知識があるわけではないのですが、とても魅力的です。
一瞬ぎょっとするような不気味さも持ち合わせているのですが、どこかコミカルで、不思議なメルヘンさがあるんです。この絶妙な世界観がとにかく魅力核で、ページをめくるたびにまじまじと見入ってしまいました。
メルヘンな絵柄でありながら、物語自体にはどこかリアルな手触りがあり、そのギャップがまた面白いところです。
機械的にこなすのではない。「相手の心」に寄り添うこと
物語の中で特に印象に残ったのが、「依頼人がなぜその色を依頼してきたのか」について、しんやが深く深く思索するシーンです。
単に言われた通りの仕事を機械的にこなすだけでは、この物語は成り立ちません。「なぜその色なのか?」と依頼人の背景や気持ちに思いを巡らせる姿勢に、ハッとさせられました。
1人で悩んでいる時には気づけないこと
この本を読んでいると、「物事の捉え方」について考えさせられます。
自分自身の中で「これが正解だ!」と思い込んでいることも、第三者から客観的に見てもらうことで、より良い選択肢が見えてくることってあります。
「この問題の原因は絶対にこれだ!解決方法はこれしかない!」と1人で抱え込んで悩んでいても、実は根本的な原因を勘違いしていた…なんてこともよくあります。物事を柔軟に見つめ直す大切さを、教えられたような気がしました。
『ペンキや』はどんな人におすすめ?
この絵本は、どちらかといえば大人向けの作品かなと感じます、子どもが読んで「あ〜楽しかった♪」となるような、わかりやすいエンタメ絵本とは一味違います。
特に以下のような方におすすめです。
- 自分自身を見つめ直したい人
- 不思議で魅力的な絵本・美術が好きな人
- 少し心が疲れ気味の人
(※「こうすれば楽になりますよ」というような解説的な本ではありません。
ですが、人生について改めて考えさせられ、どこか背筋がスッと伸びるような感覚になれる本です)
読むのにおすすめのシチュエーション
読むなら、夜寝る前のひとときがぴったりです。
「なんとなく頭の中がモヤモヤしている」「すごく深刻というわけではないけれど、なんだか気持ちがしっくりこない…」そんな夜にそっと開いてみるといいかもしれません。
おわりに
実はこの『ペンキや』、現在は新刊での入手が難しく(絶版・重版未定となっているため)、新品を本屋さんの店頭で買うことができません。
ですが、Amazonなどのネットショップでは今でも中古本がちらほら出回っています。
心になんとなくモヤモヤを抱えている方や、一筋縄ではいかない不思議な絵本の世界に浸ってみたい方は、ぜひ探して手に取ってみてください。
以上です、ありがとうございました!(^^)

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