概要
書名:三びきのやぎのがらがらどん
原作:ノルウェーの昔話
作者:マーシャ・ブラウン(絵)
翻訳:瀬田貞二
出版社:福音館書店
出版年:1965年7月1日
本の長さ:32ページ
ジャンル:絵本、童話
内容: 橋の向こう側の山で、たくさん草を食べようと考えた3匹のヤギが、橋を渡っている途中、谷に住むトロルに出くわしてしまう。
3匹のヤギは無事に橋を渡ることができるのか?
特徴
・3〜40代なら小学生の頃に図書室でみかけた人もいると思う。
・絵が力強く、人によっては怖い印象を受けかも。
・リズム感がよい文章で、子どもに読み聞かせにも最適。
この本から得られること
・勇気と知恵の大切さ。
・むやみに他人のテリトリーに入ったり、喧嘩をふっかけてはいけないということ。
・圧倒的な力のもとでは、自信なんか無意味だということ。
・置かれている立場や状況、考え方によって正義や悪の判断は変わってくるということ。
感想 (ネタバレを含みます、作品の結末を知りたくない方は、ここでページを戻ってください。)
雑学本ばかり読んでいたので、たまには物語モノの本を読もうと思い、真っ先に思い浮かんだのがこの本です。
この本を選んだ理由は、小学生の頃、図書室においてあったのをなんとなく覚えており、表紙のデザインが印象的で、記事を書こうと思った時に、ふと思い出したからです。
当時は読書をする習慣が全くなかったので読まなかったのですが、今回ようやく手に取りました。
この本を読んだ率直な感想は、
「うわぁぁ……」
衝撃のラストには、なかなか引いてしまいました。
悪役のように描かれているトロルは、なんだかんだいいながらも、結局誰にも手を出してないのに、一番大きい三匹目のヤギ(以下がらがらどん)にバラバラにされてしまうんです。
すがすがしいくらいバラバラ。
あまりに理不尽すぎる。
トロルのように中途半端に力を持っていて、自信があったとしても、圧倒的な力の前では、すべてが無意味です。
己の力をどのように活かすかは自分で決めれば良いですが、相手を威圧するために力を振りかざすのはあまり得策ではないと思います。
一方で、がらがらどん達が橋を渡ろうとした時にトロルが、
「だれだ、おれの はしを かたことさせるのは」
と、怒鳴るシーンがあります。
この本に書かれている内容だけをみると、がらがらどん達が、無断でトロルのテリトリーに入ったのです。
言ってみれば、先にちょっかいを出したのは、がらがらどん達なので、一方的にトロルが悪だと決めつけるのはどうかと思います。
もしかしたら、トロルはただ顔が怖いだけで心は優しく、橋の向こうにあるたくさんの草を守るために、虚勢を張ってただけかもしれません。
いずれにしても、がらがらどんもトロルも、せっかく言葉を話せるのならもっと話し合って、お互いが納得できるような解決策を見つけるべきです。
互いに相手を力でねじ伏せようとしたことが招いた結果なので、これは、バラバラにされたトロルにも落ち度はあるのかなと思います。
…まぁ、それにしたって、トロルには改心する機会すら与えられなかったのは本当にかわいそう(笑)
・草を食べるために、無断でトロルのテリトリーに侵入したがらがらどん。
・テリトリーに侵入され、追い払うために脅しをかけるもバラバラにされたトロル。
この物語は、がらがらどんとトロル、どちらが正義かは、僕はわかりません。
それぞれ置かれている立場や状況、考え方によって、正義や悪の判断は変わってくるものなのだと思いました。
最後に、がらがらどんの煽りスキルの高さをあらわすセリフを引用して締めさせていただきます。
トロルが、がらがらどんに
「ようし、それでは ひとのみにしてくれるぞ!」
と怒鳴ると、がらがらどんはこう言い返しました。
「さあこい!こっちにゃ 二ほんの やりが ある。
これでめだまはでんがくざし。
おまけに、おおきないしも二つ ある。にくも ほねも こなごなに ふみくだくぞ!」
……うわぁぁ……
力こそがパワー!
以上です、ありがとうございました(^^)